「俺の走りを認めてくれる場所は無い。…べつに誰にも認められなくたって良いよ。俺は、好きな事を好きなだけやれればそれで良い。」
 剣はいくつもの路地裏を翔け抜け爆破しても安全な港を目ざした。普通に車を走らせれば、大きな道を走る車では一番近い海まで20分はかかる。 それに比べ、人間と木箱が通過できればどんな隙までも走る事が出来る剣の場合、最高時速、最短距離で海岸まで2分もあれば付く事が出来た。
 そして、2分後。剣マシンは港にいた。
 爆破数秒前に海に放り投げた木箱は、空中で轟音と共に大爆発を起こし、色気の無い花火を見つめながら、
「どこででも走る事は出来るし、ま…いいか。」
 と、呟いた。
 産まれながらにしての残酷な宿命を、心から楽しもうとする男 剣マシン。




『俺は、好きな事をしていたかった…。』 終
前に戻る トップページへ